正しい方法で靴を選び、履くということ
大人のあなたは正しく靴を選び、履けていますか?
専門家の視点で解説します。
日本人の標準的な靴の履き方は、足だけで脱ぎ履きをする方法です。
手を使って靴ひもを締めて足にフィットさせる「正しい履き方」は、知っていてもやっている人はごく少数です。
一般市民が靴を日常的に履かれるようになったのは戦後。今から約80年前だと言われています。
洋服については小中の家庭科で習いますが、靴について学ぶことはありません。
そのため日本人は靴の機能性の見分け方を知りません。見た目の好みで靴を選び、サイズの決め方も適当です。何も教わる機会がなかった皆さん、靴で困っていませんか?
このサイトでは、専門家が検証した「正しい情報」についてお伝えしていきます。


靴が足に及ぼす影響
日本で靴が一般市民の間で履かれるようになって、今年でおよそ80年経つと言われています。日本では草履や下駄の時代の履き方「足だけを使う履き方」をずっと続けています。これが今も「日本の標準的な履き方」として行われ続けています。この履き方では、足は靴の中で安定せず、靴の中で足が不安定になることによる疲労、ケガ、足の不調やトラブルの原因になっているという報告(*1)もあるほどです。
日本学校保健会の「足の健康と靴のしおり(*2)」には、約1万人の小中高の子どもたちを対象にした大規模調査の結果が紹介されています。それによると、小学校低学年では31.5%、小学校高学年では40.3%、中学生では57.0%、高校生では74.0%の子どもたちが足のトラブルがあると自己申告していること。子どもたちの足長と靴サイズの比較結果からは、足に合ったサイズが19.5%、大きいサイズが70.3%、小さいサイズは10.2%でした。また、小さい靴と大きい靴の子どもほど、足のトラブルの訴え率が高いことも分かっています。これらのことからも、まずは大人のあなたが正しい靴の選び方と履き方を知って、子どもの足を守る、担い手になって頂きたいのです。
子どもの靴選び情報が多すぎて、何を信じればいいか困っていませんか?
現代の日本では、過剰なネット情報が蓄積されており、調べても調べても山のように情報が出てきます。でも、その情報源はまちまちで、どれを信じたら良いかわからない。
子育て講演会や保護者学習会で、そんな声をたくさん聞くようになりました。
実際に、今の日本の靴の情報は混沌としており、何が正しいか正しくないかがわからない。どれを信じたら良いのか?不安な気持ちで靴を選ばざるを得ない購買事情となっています。
「口コミ評価が高い靴が売れる」「親とお揃いの靴(有名スポーツブランド)を履かせる流行」が続いていますが、成長期の子どもの足にとって良い靴が選べているのか?よく考えてみてください。

例えば、靴のサイズ選びについて、こんな声を聞きました。「足を計測してくれる靴店では、測ったサイズに対し、「このサイズがいいですよ。ちょっと大きめですが、足はすぐ大きくなりますから」と勧められ、そのまま購入。でも実際に履かせて歩かせてみると、靴が大きくて歩きにくそう。「本当にこれで合っているの?」とモヤモヤしながら履かせ続けた」。聞いたのはつい最近のことです。
また、靴の履き方について教えてくれるお店と、そうでないお店がありますし、ネット購入では、そんなサポートすら受けられません。ネット購入が大半を占めているのが現状ですから、お店にも頼れません。そんな不安を抱えた保護者の声が、私に寄せられています。

信頼できる情報を手に入れるには
保護者の不安を取り除き、少しでも正しい情報を発信したい。そんな願いをもって活動をしている私のところに、子育て専門誌とテレビの子育て番組から依頼がありました。
私が監修した子育て専門雑誌(*3)には、ファーストシューズやセカンドシューズの時期に必要な正しい靴選び、正しいサイズの決め方、正しい靴の履き方情報が掲載されています。
テレビの子育て番組のウェブサイト(*4)には、保護者からの問いかけに専門家が答えるQ&Aスタイルでわかりやすく紹介されています。
両方ともご覧いただくと、かなり靴に詳しくなれると思います。
いまの保護者や大人の皆さんに知って頂きたい事があります。特に強調したいのは、「足にとって重要なのはどのブランドの靴を選ぶかではない」ということです。
日本人はこれまで靴教育を受けて来なかったので、サイズの正しい選び方も分からなければ、どんな履き方が足のために良いか知らずに来てしまいました。つまり、靴の基本的な知識がありません。なので、「どこの靴を買うか」という初歩的な部分にしか意識を向けることができないのです。
「正しい履き方」
- 大人に履かせてもらう時期のお子さんには、正しい履かせ方をして「足と靴のフィット感覚⇒するどい足感覚」を育てることに重点を置きましょう。
- 自分で靴を履きたがるようになる時期のお子さんには、手を使って丁寧に正しく靴を履くことを教えます。
- 集団生活を送る3歳児以降になったら、自分で靴が正しく履けること。ベルトがゆるんだり外れたりして危ない状態になったら、すぐに自分で履き直せる「靴の直し方がわかる」ように教育して自立させていくこと。
- 小学校入学時には、正しい履き方と直し方が安定して続けられる。つまり、自分で靴を正しく扱えるようになることを目指すのが良いでしょう。これが毎日の習慣になって身に付けば、もう安心です。

シューエデュケーション®を知ろう
園や学校で先生から靴について学ぶことができたら、日本中の子どもたちに届き、健康と安全の役に立つ。この構想から私が立ち上げたのがシューエデュケーション®です。子どもたちを良く知っている教育の担い手である「先生たち」から、他の様々な教育と一緒に、クラスの仲間と共に学べるのが「靴の教育」シューエデュケーション®です。
いま「JASPE足育」が全国の先生たちの間に徐々に広まってきています。ネットによる不正確な情報ではなく、保育者・教育者による信頼できる教育情報が作られています。もうすぐ皆さんの先生にも届き、皆さんの先生からお子さんが靴の教育を受けられる日が、近い将来やってくることを、ぜひ知ってください。
文献・出典
(*1) 塩之谷香・片瀬眞由美ほか:不適切な靴が原因と考えられる成長期の下肢障害,靴の医学22,pp51-56.2009.
(*2) (財)日本学校保健会:足の健康と靴のしおり改訂版,(財)日本学校保健会.2009.
(*3)吉村眞由美監修:「ファーストシューズの選び方」後期のひよこクラブ 2026 年 春号ほか毎号で継続掲載中,ベネッセコーポレーション,東京,2026.
(*4)吉村眞由美監修出演:NHK Eテレ:すくすく子育て[子どもの靴と足の発達]2025.5.17放映, NHK ONE(2026 年3 月30 日閲覧).
